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産業化が期待される中国土壌汚染修復

出所: 中日传播网 作者:大野木 昇司 更新時間: 2008-9-28 0:00:00

 

産業化が期待される中国土壌汚染修復

 中国で拡大を続けている汚染現象は、水質汚染や空気汚染だけでなく、土壌汚染も非常に深刻な状態で、食品の安全性や地下水品質等に対し重要な影響を与えている。近年、中国政府は土壌汚染対策を重視し、各方面の注目を集めると同時に、土壌修復産業という新市場の開拓の動きも見えてきている。

 

環境修復発展フォーラムでの土壌汚染対策の内容

  20081212日に北京で行われた「中国環境修復発展戦略フォーラム」で発表されたデータによると、2006年の中国1人当たり平均耕地は1.39ムー(約0.92ha)で、世界平均の40%に満たないが、カドミウムやヒ素、鉛など重金属汚染を受けた耕地面積は2000haに達し、総耕地面積の1/5を占めるという。また年間1200万トン以上の穀物が汚染され、少なくとも計200億元の損失が出ている。中国における土壌汚染に関するデータは整備されておらず、汚染面積については上記の数値を上回る説もあって様々であるが、工業密集地区や鉱山地区周辺、都市部周辺などでは汚染が進んでいるといえよう。いずれ全国土壌全数調査で明らかになる見込みである。

 中国ではまだ土壌汚染修復の実例が少なく、主に北京?上海?重慶?瀋陽等の都市部に集中している。そのうち中国初の実例とされるのが、2007年より実施された北京化学工業第3工場跡地の土壌修復事業である。その他、2008年には北京コークス化学南工場区の汚染土壌対策事業や北京染料工場の土壌無害化?資源化事業が始まった。

  北京建工環境修復公司は、同フォーラムで、北京染料工場の土壌汚染修復事業を請け負うことを発表した。同社はこれまで、北京化学工業第3工場、北京染料工場、コークス化学南工場区などの工場跡地の汚染土壌修復事業を請け負っている。

1.既存の中国土壌に関する基準?規格一覧

 

国家環境保護基準

?展覧会用地土壌環境質評価基準(暫定)HJ350-2007

?食用農産品産地環境質評価基準 HJ332-2006

?温室野菜産地環境質評価基準 HJ 333-2006

?開放土地土壌中の剰余放射性の許容可能水準規定(暫定)HJ 53-2000

?土壌環境質基準 GB15618-1995

?土壌環境モニタリング技術規範 HJ/T166-2004

国家環境保護総局基準

?工業企業土壌環境質リスク評価基準 HJ/T251999

※測定法に関するものは除く。基準名の後にあるの は基準番号

出典:中国環境保護省ホームページより

 

徐々に進む土壌汚染対策の法整備

 環境修復市場の発展を促す政策や措置の制定?実施の動きも徐々に進んでいる。土壌汚染防止法や工場敷地土壌の規制はまだないものの、欧米系工場は中国でもリスク低減のために土壌対策を進めている。近い将来、工場の土壌対策の法整備は進む見込みであり、一般企業にとっても環境企業にとっても目が離せない。既存の中国土壌に関する基準?規格は図1の通りである。

 環境保護省は200866日に『土壌汚染防止事業の強化に関する意見』を公布し、土壌や地下水を汚染した企業や組織または個人が責任を持って回復するものとし、企業や組織が合併や組織変更などによって「消滅」してもその責任を免れられず、債権債務を受け継いだ企業や組織が引続き回復の責任を負うようにするという今後の政策方針を打ち出した。

 この通達では、2010年までに土壌汚染に関する全面調査を完了するとともに、土壌環境モニタリングネットワークを構築し、国と地方の土壌汚染防止計画を作成し、土壌汚染防止に関する政策法律法規など管理体系枠組みを構築するとした。2015年までに、土壌汚染防止監督管理体系を構築し、土壌汚染防止基準体系を整備し、土壌汚染防止計画を全面実施し、汚染土壌修復?総合処理モデル事業で成果を挙げるとしている。

 この通達以外でも、年間30004000万元を土壌汚染基準体系の構築に投入し、今後12年以内に土壌汚染基準体系を初歩的に構築する見込みである。技術面の研究も強化しており、環境保護省は土壌汚染科学研究を10件余完成した。

 2006年から環境保護省は全国土壌全数調査を進めており、その結果を踏まえて法整備を進めていく予定であり、2010年までの第11次五ヵ年計画期間中に土壌汚染防止法を制定する計画である。また同期間中に制定する計画である土壌関連の基準?規格は図2の通りである。この中で(2009)とあるのは、2009年の環境保護基準制定計画(パブコメ版)に掲載されたもの、そのあとの団体名は、その基準?規格を制定する機関を示す。

22010年までに制定予定の土壌関連基準?規格

国家環境保護産業基準―建設事業監督管理基準

?土壌環境質評価技術規範

?環境影響評価技術ガイドライン―土壌(2009

国家環境保護産業基準―生態環境保護基準

?土壌農薬汚染抑制技術規範(2009MEP南京環境科 学研究所)

?土壌農業用フィルム汚染抑制技術規範(2009MEP 南京環境科学研究所)

 国家環境保護産業基準―環境保護情報基準

?土壌測定ポイント名称コード(2009

国家環境保護産業基準―その他環境保護基準?規範

?汚染土地土壌リスク基準

?汚染土壌リスク評価技術規範

?土壌環境中で優先的に抑制すべき汚染物リスト  2009MEP南京環境科学研究所)

※測定法、標準物質に関するものは除く。MEPは中国 環境保護省を指す

出典:『“十一五”期間需要制修訂的国家環境保護   標準名録』及び『2009年度国家環境保護標準   制修訂項目計画』

 

北京における土壌汚染対策の取り組み

  北京市では、五輪環境対策やエネルギー構造調整のため、石炭、鉄鋼等の重汚染工場の生産停止や郊外移転が進められており、残された工場跡地の修復?再利用が課題となっている。同市では、汚染工場跡地の情報システムを構築し、関連部門の職責を規定し環境修復責任を明確にするなどの内容を盛り込んだ『北京市汚染跡地管理弁法』草案を作成した。また、今後関連の政策法規体系を引き続き整備し、科学的で有効な汚染跡地の管理体系を構築し、市場主体の参入意欲を高め、汚染跡地修復を促進させる資金保障体制を積極的に模索し、様々なアプローチ、手段により技術力を高めるという。同市の産業構造調整も後半に入っており、さらに多くの工業用地を居住地と商業開発に転換していくことになる。

 

中国の潜在的土壌汚染処理市場

  こうした政策を追い風とし、中国の土壌修復産業は近い将来に飛躍的発展を遂げると予想される。先進国では環境保護産業の約半数が土壌汚染修復で占められており、中国でもこれに近いニーズが潜在しているといえる。北京の染料工場跡地における土壌汚染修復では、汚染の種類に対応して燃焼固形化法と熱解析法が利用されているが、後者の熱解析設備については国外から先進技術や設備を導入しており、こうした新技術の導入は海外企業からも産業化、市場化につながると期待される。

                                                                                               作者:大野木 昇司

 

 

大野木 昇司(おおのぎ しょうじ)

  大阪府出身。京都大学にて衛生工学科専攻、その後大学院に進みエネルギー科学の研究に携わり京都大学大学院、北京大学環境学院にて修士号を取得。その後、国土環境株式会社などを経て05年に日中環境協力支援センター有限会社(www.jcesc.com)を設立、現在に至る。桜美林大学北東アジア研究所客員研究員を兼任。メルマガ「中国環境?CSR?エネルギーレポート」も好評。

 

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