環境修復発展フォーラムでの土壌汚染対策の内容
2008年12月12日に北京で行われた「中国環境修復発展戦略フォーラム」で発表されたデータによると、2006年の中国1人当たり平均耕地は1.39ムー(約0.92ha)で、世界平均の40%に満たないが、カドミウムやヒ素、鉛など重金属汚染を受けた耕地面積は2000万haに達し、総耕地面積の1/5を占めるという。また年間1200万トン以上の穀物が汚染され、少なくとも計200億元の損失が出ている。中国における土壌汚染に関するデータは整備されておらず、汚染面積については上記の数値を上回る説もあって様々であるが、工業密集地区や鉱山地区周辺、都市部周辺などでは汚染が進んでいるといえよう。いずれ全国土壌全数調査で明らかになる見込みである。
中国ではまだ土壌汚染修復の実例が少なく、主に北京?上海?重慶?瀋陽等の都市部に集中している。そのうち中国初の実例とされるのが、2007年より実施された北京化学工業第3工場跡地の土壌修復事業である。その他、2008年には北京コークス化学南工場区の汚染土壌対策事業や北京染料工場の土壌無害化?資源化事業が始まった。
北京建工環境修復公司は、同フォーラムで、北京染料工場の土壌汚染修復事業を請け負うことを発表した。同社はこれまで、北京化学工業第3工場、北京染料工場、コークス化学南工場区などの工場跡地の汚染土壌修復事業を請け負っている。
図1.既存の中国土壌に関する基準?規格一覧
国家環境保護基準
?展覧会用地土壌環境質評価基準(暫定)HJ350-2007
?食用農産品産地環境質評価基準 HJ332-2006
?温室野菜産地環境質評価基準 HJ 333-2006
?開放土地土壌中の剰余放射性の許容可能水準規定(暫定)HJ 53-2000
?土壌環境質基準 GB15618-1995
?土壌環境モニタリング技術規範 HJ/T166-2004
国家環境保護総局基準
?工業企業土壌環境質リスク評価基準 HJ/T25—1999
※測定法に関するものは除く。基準名の後にあるの は基準番号
(出典:中国環境保護省ホームページより)
徐々に進む土壌汚染対策の法整備
環境修復市場の発展を促す政策や措置の制定?実施の動きも徐々に進んでいる。土壌汚染防止法や工場敷地土壌の規制はまだないものの、欧米系工場は中国でもリスク低減のために土壌対策を進めている。近い将来、工場の土壌対策の法整備は進む見込みであり、一般企業にとっても環境企業にとっても目が離せない。既存の中国土壌に関する基準?規格は図1の通りである。
環境保護省は2008年6月6日に『土壌汚染防止事業の強化に関する意見』を公布し、土壌や地下水を汚染した企業や組織または個人が責任を持って回復するものとし、企業や組織が合併や組織変更などによって「消滅」してもその責任を免れられず、債権債務を受け継いだ企業や組織が引続き回復の責任を負うようにするという今後の政策方針を打ち出した。
この通達では、2010年までに土壌汚染に関する全面調査を完了するとともに、土壌環境モニタリングネットワークを構築し、国と地方の土壌汚染防止計画を作成し、土壌汚染防止に関する政策法律法規など管理体系枠組みを構築するとした。2015年までに、土壌汚染防止監督管理体系を構築し、土壌汚染防止基準体系を整備し、土壌汚染防止計画を全面実施し、汚染土壌修復?総合処理モデル事業で成果を挙げるとしている。
この通達以外でも、年間3000~4000万元を土壌汚染基準体系の構築に投入し、今後1~2年以内に土壌汚染基準体系を初歩的に構築する見込みである。技術面の研究も強化しており、環境保護省は土壌汚染科学研究を10件余完成した。
2006年から環境保護省は全国土壌全数調査を進めており、その結果を踏まえて法整備を進めていく予定であり、2010年までの第11次五ヵ年計画期間中に土壌汚染防止法を制定する計画である。また同期間中に制定する計画である土壌関連の基準?規格は図2の通りである。この中で(2009)とあるのは、2009年の環境保護基準制定計画(パブコメ版)に掲載されたもの、そのあとの団体名は、その基準?規格を制定する機関を示す。
図2.2010年までに制定予定の土壌関連基準?規格
国家環境保護産業基準―建設事業監督管理基準
?土壌環境質評価技術規範
?環境影響評価技術ガイドライン―土壌(2009)
国家環境保護産業基準―生態環境保護基準
?土壌農薬汚染抑制技術規範(2009、MEP南京環境科 学研究所)
?土壌農業用フィルム汚染抑制技術規範(2009、MEP 南京環境科学研究所)
国家環境保護産業基準―環境保護情報基準
?土壌測定ポイント名称コード(2009)
国家環境保護産業基準―その他環境保護基準?規範
?汚染土地土壌リスク基準
?汚染土壌リスク評価技術規範
?土壌環境中で優先的に抑制すべき汚染物リスト (2009、MEP南京環境科学研究所)
※測定法、標準物質に関するものは除く。MEPは中国 環境保護省を指す
出典:『“十一五”期間需要制修訂的国家環境保護 標準名録』及び『2009年度国家環境保護標準 制修訂項目計画』
