金融危機の中国環境ビジネスへの影響
出所: 中日传播网 作者:大野木 昇司 更新時間: 2008-9-28 0:00:00
金融危機の中国環境ビジネスへの影響
米国から発した国際金融危機が世界を覆っており、中国の環境ビジネス市場にも影響してくると予想されている。中国は巨額のインフラ資金投入で対応しようとしており、むしろ環境省エネ分野では大きなチャンスになると見られている。今回は、今の国際金融危機の中国環境ビジネス市場への影響について考察する。
金融危機の環境への影響
一般に汚染負荷は、特に経済発展の初期段階においては、経済活動の規模の大きさに伴って増大する。このため、金融危機に何ら対策を講じなければ、不況の影響を受けて消費活動は低下し、それに伴い経済活動の規模は縮小し、工場稼働率は低下、汚染排出量は減少する。特に中国は輸出依存率が高く、内需が本格的に動いていないため、欧米日の不況は中国経済を直撃することになる。このため、特に短期的には環境負荷は低下する。生産能力過剰から、効率の悪い工場や発電所、設備を撤去することもありうる。しかしその一方で、不況になれば環境対策の優先順位は落ち、経済発展を優先することになる。長期的には、企業の環境対策への資金投入が鈍る、環境インフラへの投資熱が冷めるなどのマイナスの作用が働く。
中国は大規模なインフラ投入で金融危機に対抗
中国は、今回の国際金融危機に対応するため、内需拡大のための大規模な経済活性化という選択をした。国務院は1200億元相当の企業向け減税を柱とした内需拡大10施策と、2010年までに4兆元を投入するという緊急経済対策を打ち出した。その10施策のうち環境に関連するものは「農村のインフラ建設加速」(農村の湖沼?飲料水安全事業、南水北調、大型灌漑区節水改造)、「生態環境建設の強化」(都市汚水?ゴミ処理施設建設、重点流域の汚染防止、防護林?天然林資源保護、省エネ?排出削減事業)がある。
10施策のうち、鉄道?道路?空港など重大インフラ建設加速はむしろ環境負荷を増大させる措置である。環境保護省は、事業をしやすくするため、環境アセスの審査手続きを加速する方針を打ち出しが、これにより汚染型事業が増えるという懸念もある。

環境省エネ分野でも今後2年で1兆元以上を投入
この4兆元は全て新規事業というわけではなく、五ヵ年計画で決まっていたが実行の遅れていた事業を加速するものもある。また財政出動は全体の2割程度で、残りは企業債による自己調達や銀行融資などである。環境分野についてみると、都市汚水?ゴミ処理施設建設では、五ヵ年計画で未実行の部分2600億元(汚水処理や汚水リサイクル2210億元、ゴミ処理390億元)が対象となる。第11次五ヵ年計画(2006年~2010年)では、環境分野への資金投入は1兆4000億元となると予測されているが、前3年の資金投入量はまだその半分にもならず、予測通りに環境分野に資金投入されるだけでも相当な資金額になり、環境改善につながると、中国環境政策のブレーンである王金南?中国環境計画院総工程師は述べる。また中国環境保護省の周生賢大臣は、2010年までに狭義の環境分野だけでなく、省エネや新エネ開発、リサイクル、節水などを含めると1兆元規模を投入するという。中でも、汚水?ゴミ処理(西部地区、農村地区)、脱硫脱硝、風力発電や太陽エネルギー利用、原子力発電(沿海地区)は重点中の重点であり、中国の新たな経済成長分野になるとされる。
金融危機は中国経済を失速させることになるが、中国は大規模なインフラ資金投入で対応することになり、環境保護、省エネ、新エネ、リサイクルなどの産業にとってはむしろ一大チャンスと見られている。
作者:大野木 昇司
大野木 昇司(おおのぎ しょうじ)
大阪府出身。京都大学にて衛生工学科専攻、その後大学院に進みエネルギー科学の研究に携わり京都大学大学院、北京大学環境学院にて修士号を取得。その後、国土環境株式会社などを経て05年に日中環境協力支援センター有限会社(www.jcesc.com)を設立、現在に至る。桜美林大学北東アジア研究所客員研究員を兼任。メルマガ「中国環境?CSR?エネルギーレポート」も好評。