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中国の環境アセスメント制度

出所: 中日传播网 作者:大野木 昇司 更新時間: 2008-9-28 0:00:00

 

中国の環境アセスメント制度

 

 中国でも建設事業の環境アセス制度が確立している。環境アセスの違反事業の取り締まり、住民参加の強化、評価対象の拡大が近年の重要な動きである。特に環境負荷の大きい事業では、現地住民の理解を得る努力も必要になってきている。

 

中国環境アセス制度の沿革

環境影響評価(環境アセスメント)という概念が中国で提起されたのは1973年の第1回全国環境保護会議においてであり、その後1979年、「環境保護法(試行)」で環境アセスが法律制度として確立した。また1989年に制定された『環境保護法』では、建設プロジェクトに対する環境アセス制度が再度是認された。

2003年には「環境影響評価法」が施行され、全てのプロジェクトに対し環境アセスの実施が義務付けられることになった。工場やビルといった個別の建設プロジェクトに加え、地域の環境容量を考慮し、開発計画に対する環境影響評価(計画環境アセス)の規定が新たに盛り込まれた。

国家環境保護省はこれを環境違法行為取締りの手段?産業構造調整の手段ととらえ、プロジェクトの環境影響報告書が環境保護部門の審査に合格しないうちに勝手に建設着工した一部の違法プロジェクトを即時停止させ、責任者には官民問わず行政処分を科している。その一方で、計画環境アセスの実証事業は進んでいるものの、地方の反対を受け法令化は難航しており、また政策決定、上位計画決定や事業の意志決定段階、適地選定段階で実施される戦略的環境アセスについても、実証事業すら本格化していない。

ともあれ、同法の施行から5年、環境アセスの規制強化により、省エネと排気ガス排出削減は徐々に進み、産業構造の調整が促進されてきている。中国では今後も規制強化の傾向が続くと見られ、進出企業にとって環境アセスは一層注意すべきポイントである。

 

中国環境アセスの概要

中国の環境アセスは、計画環境影響評価と建設プロジェクト環境影響評価の二つに大別されており、日系企業が中国で事業を実施する場合は一般的に後者が適用される。また、国家発展改革委員会が2004109日に公布し、即日施行した外国企業投資事業審査暫定管理弁法(原文:外商投資項目核准暫行管理弁法)に規定されている会社設立申請諸手続きの中でも、環境アセスの実施が要求されている。以下にその概要を述べる。

 

申請企業は現地の環境保護部門より申請表を受領し、必要事項を記入して、添付書類と共に環境保護局に提出し予備審査を受ける。その際、プロジェクトの与える環境影響の大小により、「建設プロジェクト環境保護分類管理目録」をもとに分類され、これにより環境影響評価報告の作成レベル、監督官庁による管理レベルが異なってくる。

(ア)  重大な影響を与える可能性のあるプロジェクトの場合は、「環境影響評価報告書」を作成し、行政部門の批准を受けなければならない。

(イ)  軽度の影響を及ぼす可能性のあるプロジェクトの場合は、「環境影響評価報告表」を提出することが要求される。

(ウ)  環境への影響が少ないプロジェクトの場合は、「環境影響登記表」の記入?提出のみで足りる。

予備審査の結果、上記の(ア)または(イ)に該当した場合、環境アセスの作業は、環境保護省から「建設プロジェクト環境影響評価証書」の資格(甲級?乙級)を取得した環境影響評価機関が担当することになる。この機関のリストは、ウェブサイト上で公開されている(20089月の最新版は、

http://www.mep.gov.cn/hjpj/zzgl/dwgl/200809/P020080928531798498391.xls)。

また、環境影響評価報告書に記載すべき主な内容については以下の通りである。

       プロジェクトの概要や規模、周辺環境状況

       生産等プロセスのフロー

       水や電力などのエネルギー消費量

       廃棄物排出量及びその処理方法

       導入する予定の汚染防止装置

       環境影響予測及び評価(大気、水質、土壌、騒音、生物多様性等)

       環境リスク評価

       施行期間の環境影響分析

       クリーナープロダクション検証

       用地選定および敷地全体配置計画の合理性検証

?       社会経済効果、環境経済性の検証

?       住民参加

?       結論と提案

 

住民参加制度を改善へ

中国に進出した外資系企業、日系企業は、基本的に環境規制の基準を遵守、またはそれ以上の対応をしている優良な企業が多い。しかし今後は、環境対策に加え、現地住民対策も重要になってくると考えられる。福建省アモイ市政府の化学物質パラキシレン(PX)プラント誘致プロジェクトが、環境アセスメントを実施?批准されていたが(報告書は一般には公開されず)、民衆の反対運動を受けて中止に追い込まれた事件は、中国における環境に対する民意の高揚をうかがわせる好例であろう。中国政府もまた、現在の制度中にある住民参加の方法や手順を具体化する動きを見せており、市民への説明責任の機会は今後増えていくと考えられる。中国に進出する日本の企業にとっては、新たなる課題となるだろう。

 

                                           作者:大野木  昇司

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