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中国人の言語意識と外国語観

出所: 世研调查网 作者:世研调查网 更新時間: 2008-4-30 0:00:00

日本語学習と日本?日本人イメージ

-世界28カ国における日本語観国際比較調査から-

 

米田 正人 (日本,国立国語研究所)

 

 

 1997年1月から1998年7月にかけて,日本語が世界各国の人々にどのように捉えられているのかを知るための調査が行われた。この調査は,文部省科学研究費補助金の助成を受けて,国立国語研究所が中心となって世界28の国と地域において行ったものである。被調査者はその国や地域に市民権を持つ,ランダムサンプリングによって抽出された15歳から69歳の男女約1,000名であるが,中国と日本だけは例外として約3,000名が選ばれている。世界の多くの国と地域を対象とした調査であることから,我々はこの調査を「日本語観国際センサス」と呼んでいる。

 

 地図には調査対象の国と地域を色づけして示した。緑色は第一次国(1997年4月~1998年3月に15カ国で実施),黄色は第2次国(199712月~1998年4月,12の国と地域で実施),オレンジ色は第3次国(1998年7月に日本国内で実施)である。

 調査項目はフェースシート10項目,言語等の内容に関する56項目で構成されている。

 

 中国調査は中国人民大学の協力を得て,都市部および都市部周辺の住民を対象に,中国全土100地点で実施された。調査効率を考慮して農村部は除外したのであるが,その結果,母集団の規模は4億人程度と推測されている。結果の考察に際してはこの点に十分注意する必要がある。

 今回の報告では,中国調査の結果を中心に,日本語学習,日本イメージ,日本人イメージに関する項目について概観することにする。

 

 

 都市部および都市部周辺に住む一般的な中国国民は,日本語にどのような接し方をしているのであろうか。

最初提示するものは,日本語学習の経験の有無を尋ねたものである。レベルはまちまちであろうが,「かつて日本語を勉強した,あるいは現在勉強している」と回答した人は,全被調査者の約7%ほどであった。

 

 次に,今後日本語を習いたいと思うかどうかを尋ねた結果を見てみよう。「非常に習いたい」と「まあ習いたい」をあわせると約32%であった。約3割の人が習い続けたい,あるいは習いたいと考えていることが分かる。年齢別に見ると,若い層ほど学習意欲が高く,10代では60%以上が,そして20代では40%以上が日本語を習いたいと思っている。高年層の60代では,10%以下という結果になっっている。

 

 

それでは日本語を学習したいと思う動機は何であろうか。日本語を習いたいと思うと回答した930人(32%)に尋ねた結果,以下のような回答を得ることが出来た(調査では15の選択肢を準備して回答を求めている。以下では回答の多い順に示した)。

 

 「最新の情報を身につけるため」 51%, 「日本の文化を理解するため」  35%,

 「仕事で必要だから」      24%, 「いい職に就けるから」     24%,

 「重要なことばだから」     21%, 「おもしろそう」        19%,

 「収入が増える」        18%  「日本での旅行を楽しむため」  15%,

 「国際間の共通語として」    12%, 「学びやすい」          8%,

 「日本が好きだから」       7%, 「学習していたから」       6

 

 実利的な項目に回答する人が多い中,文化理解という回答が高い支持を得ている点が目立っている。

 

 

次に,日本語学習はどのくらい役に立つと思われているのかを見てみよう。

 全体の結果を見ると,「非常に役に立つ」(6%)と「まあ役に立つ」(34%)をあわせると40%の人が日本語を習いたいと思っている。一方,「あまり役に立たない」(41%)と「まったく役に立たない」(17%)をあわせると,58%の人が役に立つとは思っていないという結果になっている。年齢別に見ると,若い人ほど日本語学習の価値を認める傾向は強くなり,特に,20代で50%,10代に至っては70%近くの人が役立つと感じているという結果になった。

 

 

 

以下の図は,日本語を使って話をすると便利な事柄について尋ねたものである。

 

 

 「日本の科学技術」のことを話題にするときに日本語を使うと便利だ,と感じている人が60%を越えているのを始め,「日本の産業製品」「日本の経済」といった事柄が50%を超えている。一番率の高かった「日本の科学技術」について年齢別分布を見ると,若い層ほど便利だと思っている率が高くなる傾向が見られる。

 

 日本語を勉強したことのある人はまだ少ない。しかし,習いたいと思っている人は30%を越え,潜在的に日本語学習のニーズは大きいと思われる。特に日本語能力を獲得する可能性が大きい若者に,日本語学習意欲が高く現れた点が注目される。

 学習の動機として,経済的?実利的な面だけでなく,文化理解が高支持を得た点も注目されよう。現時点では日本語を使うと便利な日本の事柄として「科学技術」「経済」「産業」といった実利的な側面に目がいっているが,いずれ「音楽」「スポーツ」「食べ物」「美術」といった文化的側面でも日本語でコミュニケーションをすると便利と思われる時が来るかもしれない。日本人と中国人が相互にお互いの文化を理解し,円滑なコミュニケーションを展開するためにも,日本語学習の支援システムをより強固にする必要があると思われる。日本語教育の果たす役割は日中のコミュニケーションをより良いものにするために非常に重要だと思われる。

 

 

 

 日本語観国際センサスは,日本語の様子を知るために,「日本語に関する項目」だけでなく,「英語に関する項目」や「母語に関する項目」を始め,「日本に関する項目」や「日本人に関する項目」など社会学的な調査項目もふんだんに取り入れている。以下では,「日本」「日本人」について,中国の人々がどのように捉えているのかを見てみることにしよう。

 

◆日本のイメージ

 「あなたは『日本』についてどのようなイメージをお持ちですか。それぞれの項目について,あなたのお考えに最も近いものを1つだけお答えください。」という設問で,「豊か-貧しい」「近代的-伝統的」「民主的-非民主的」「信頼できる-信頼できない」「理解しやすい-理解しにくい」「好き-嫌い」という6項目の形容詞の対について尋ねた結果である。

「非常に~」と「やや~」をあわせた数値をもとに,プラスイメージの回答率の順に図示してみた。一目見て明らかなように,中国人から見ると,日本という国は,豊かであり近代的ではあるが,嫌いであり,理解しにくく,信頼できないという構図が浮き彫りになっている。

 

 

◆日本人のイメージ

 日本のイメージと同様の手法で,「勤勉-怠惰」「謙虚-傲慢」「親しみやすい-親しみにくい」「理解しやすい-理解しにくい」「信頼できる-信頼できない」「好き-嫌い」という6項目の形容詞の対について尋ねた。

 

 勤勉85%(怠慢2%),謙虚55%(傲慢18%),親しみやすい27%(親しみにくい30%),理解しやすい16%(理解しにくい38%),好き16%(嫌い39%),信頼できる14%(信頼できない46%)の順となった。

 日本人は,勤勉であり謙虚ではあるが,親しみにくく,理解しにくく,さらには信頼できず,嫌いである,と言うことになるのであろう。マイナスイメージがプラスイメージを大きく上回っている様子が顕著である。

 

 

◆日本人との接触

 「次の事柄について,どう考えますか。それぞれについて『1.賛成』『2.どちらともいえない』『3.反対』の中から選んでお答え下さい。」という設問で,以下の項目について尋ねた。

 1.あなたや,あなたの家族が日本人と結婚する

 2.あなたや,あなたの子供が学校で日本人の先生に教わる

 3.日本人が,あなたのすぐ隣りに住むようになる

 4.日本人が,レストランのテーブルであなたの隣りにすわる

 5.日本人の上司のもとで働く

 6.日本人を部下として使う

 

 結果について否定的な回答の多い順に並べてみると,「日本人の上司のもとで働く」55%,「日本人と結婚する」45%,「すぐ隣りに住む」17%,「日本人を部下として使う」16%,「レストランで隣りにすわる」14%,「子供が日本人の先生に教わる」13%の順であった。

 

 これまで概観してきた項目は,調査全体からするとほんの一部にすぎない。今後,属性とのクロス集計や項目間の相関分析,さらには他国の調査結果との比較研究を進める中で見えてくるものも期待できると思う。それらの分析結果が,日中のコミュニケーションを考える上で参考になれば幸いである。 

 

 

 日本と中国の関係については多くの場面で語られ,議論されてきた。しかし科学的,客観的な調査データに基づいた議論はまだそれほど多くないように思われる。中国の近代化が進み,中国国民の意識が調査によって把握されることが可能になった今,日中のコミュニケーション研究は更なる発展の時代を迎えつつあるように思われる。「日中コミュニケーション研究会」の発展を祈念し,日本と中国の関係がより円滑になることを期待している。

 

 

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