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中国人の日本観/日本語観

出所: 劉志明 作者:劉志明 更新時間: 2008-4-30 0:00:00

中国人民大学 劉志明

 

1.全国調査のサンプリング

 中国調査の調査対象は下記のとおりである。また、抽出方法は、層化比例割当?確率比例抽出法によっている。

    1)母集団:都市部1569歳の男女個人

    2)標本数:3000

    3)調査地域:100

4)調査地点数:600

 具体的には、以下のように標本抽出作業を行った。

1.調査対象地域(市)の抽出

段階1:抽出単位のグルーピング

 人口数、人口密度、就業構造、産業特性、都市性、地方性などによって、全国の622の都市を、「高集積大都市」(都市戸籍を持つ人口が50万人以上の都市)、「中等都市」(都市戸籍を持つ人口が20-50万人都市)、「小都市?農村部」(都市戸籍を持つ人口が20万人以下の都市)の3群にグルーピングする。

段階2 :人口数に比例したナンバー付与

 「高集積大都市」、「中等都市」、「小都市?農村部」各グループごとに、そのグループに属する抽出単位()に、10万人ごとに数値を与える。この各単位に与えられた数値を各グループごとに一貫ナンバーとして振り替える。

段階3:調査対象地域(市)の抽出

調査地域の割り当て:都市部総人口に占める各グループの人口数に比例して、調査地域数を割り当てる。それによって、高集積大都市に26、中等都市に29、小都市?農村部に45の調査地域を割り当てた。

各グループごとに、割り当てられた数の調査地域を段階2で得た一貫ナンバーによって、等間隔抽出法により抽出した。合計100の調査地域が抽出された(計99の市、上海市は2調査地域が抽出された)。

 

 

 

表1  調査地域の分布

グループ

  都市数  人口(万人)  抽出された調査地域

高集積大都市

中等都市

小都市

計 

    73       12617             26

     175     13900               29

   374       21266               45

    622       47783              100

    使用データ:1995年『中国都市統計年鑑』

 

2.調査対象地点(住民委員会?家属委員会)の抽出

段階4:確定された調査地域を構成する街道(中国都市部の自治体構造は、大都市?中都市の場合は「市」「区」「街道」「居民委員会?家属委員会」の4つのクラスが、また小都市の場合は「市」「街道」居民委員会?家属委員会」の3クラスから成っている)に1千人ごとに数値を与え、この各街道に与えられた数値を一貫ナンバー振り替え、それによって、2つの街道を、確率比例抽出する。合計200の街道が抽出された。

段階5:調査地点(居民委員会?家属委員会)の抽出

抽出された街道を構成する居民?家属委員会に百人ごとに数値を与え、この各居民委員会?家属委員会に与えられた数値を一貫ナンバー振り替え、それによって、3つの居民?家属委員会を確率比例抽出する。合計600の居民委員会?家属委員会が抽出された。

 

3.調査対象者の抽出

段階6:調査対象世帯の抽出

   調査地点は、居民委員会あるいは規模の小さい家属委員会(例えば住居ビルは4棟以下)の場合、ランダムテーブルによってスタートナンバーを決めて、住居番号がスタート番号と一致する世帯を最初の調査世帯とする。以後、一定の間隔ごと(たとえば5世帯ごと)に調査世帯を決定する。また、規模の大きい家属委員会(例えば住居ビルは5棟以上)の場合は、1棟の建物から抽出する世帯は1世帯とする。

段階7:回答者個人の抽出

各調査地域の1569歳人口の性別?年別齢構成にあわせて、調査員が各世帯から指示された割り当てに合致する回答者を抽出し、調査する。

3 サンプルの構成

   実査は調査員による面接調査で、当初の3,000サンプルの回収目標に対して、最終的には 2,917の調査票が回収された。実際に得られたサンプル(被調査者)の性別、年齢別、学歴別の構成比は次のとおりである。

サンプルの構成:

性別 

                1473    50.5  

   女          1444    49.5

年齢

      1519    357    12.2

      2029    777    26.6

      3039    748    25.6

      4049    564    19.3

      5059    296    10.1

      6069    175     6.0

学歴

      小学校以下   331    11.4

      中学校       616    21.1

      高校        1404    48.1

      大学以上     506    17.3

      その他        60     2.1

  

2.日本語の普及と日本語観

1)日本語の普及状況

   中国では日本語学習経験者が約7%を占め、母集団人口の大きさから推定すれば、中国の都市部における日本語学習経験者は約2000万人となる。これは韓国の日本語学習人口とほぼ同じ規模である。

   しかし、日本語学習経験者の分布は、地域と民族の偏りが大きい。地域分布について、黒龍江省、吉林省、遼寧省の東北三省における日本語学習の比率が他の地域を大きく上回っている。民族の分布では、朝鮮族における日本語学習率は5割近くに達し、全国平均よりはるかに高い。

 

 

2)日本語の位置づけ  

 「いままで習った外国語」「現在習っている外国語」「今後習いたい外国語」のいずれにおいても、当然ながら、英語が圧倒的に多い。

英語に次ぐ第2位の外国語については、事項ごとに異なっている。「いままで習った外国語」では、ロシア語が10%を超え、第2位の座を占めている。とくに、50代以上の人の6割近くがロシア語を答えている。これは、50年代から60年始めにかける、中国とソ連との蜜月期にロシア教育が盛んに行われたことと関係しているといえる。

   ところが、「現在習っている外国語」と「今後習いたい外国語」となると、日本語がロシア語に取って代わり第2位の外国語となっている。

中国で日本語教育が本格的に行われるようになったのは1972年の中日国交正常化以降のことで、とくに、1980年代に入って、中国の改革?開放にともなう両国交流の拡大につれて、日本語学習者が急増した、一方、ロシア語の学習者の数は中ソ関係の悪化にともなって急激に減少した。日本語とロシア語の地位逆転の背景には、このような国際関係の変化がある。言語の重要性に対する評価、学習意欲などの面で、日本語が英語にはるかに及ばないものの、ロシア語、フランス語、ドイツ語などを大きく上回っている。日本語が第2位の外国語としての地位は今後になって維持されるだろう。

3)日本語普及の動向

   日本語を習いたいと答えたのは3割を超えている。そのうち、10代で6割、20代で4割を超えている。若い人ほど日本語学習の意欲が高いことがわかる。

   大学以上の学歴層において、日本語学習経験者の比率は15%を占める。その大半は、英語を第一外国語、日本語を第二外国語として学んだのである。教育水準の上昇にともない、日本語を第二外国語として学ぶ人が着実に増えるだろう。

   大連において、政府機関、日本語教育機関、日系企業などの日本語教育担当者を対象に聴取調査、および一般市民を対象に行った調査から、日本企業の中国進出が日本語の普及を促進する一因になっていることがわかる。

   英語が主に学ばれているのに対して、日本語が主に学校以外で学ばれている。そのため、日本語学習者の日本語能力が英語学習者の英語能力と比べて全般的低い。本調査では、9割以上が「あいさつ程度」「日常生活に必要な決まりきった表現が使える程度」という低いレベルに止まっている。このような状況は今後にも続くだろう。

 

 

3.日本語学習と対日イメージ

(1)対日イメージ

 日本のプラスのイメージのなかで、最も高い評価を受けたのは「豊か」と「近代的」(90%以上)で、評価が低いのは「民主的」(30%以下)、「信頼できる」と「理解しやすい」(20%以下)である。マイナスのイメージのなかで、「信頼できない」と「理解しにくい」は4割に達している。

「日本」と「日本人」に対する好感度について、ともに「嫌い」が「好き」を上回っているが、「日本」に関する場合、「好き」が「嫌い」を9%上回っているのに対して、「日本人」の場合、「好き」が「嫌い」を23%上回っている。「日本人」に対する好感度は「日本」に対する好感度より低いことがわかる。

   対日好感度と年齢の間に、有意な相関が見られる。すなわち、年齢が上がるにつれて、「日本好き」の割合が低くなり、「日本嫌い」の割合が高くなる。年配者ほど日本嫌いの傾向が強い。

 

(2) 日本語学習と対日イメージ

  日本に関するプラスのイメージについて、日本語学習者と非日本語学習者との間で意見の相違は少ない。マイナスのイメージのなかで、「非民主的」「信頼できない」「理解しにくい」「親しみにくい」などについて、日本語学習者の比率が非日本語学習者より5~11ポイント少ない。 

  日本に対する好感度について、日本語学習経験を持つ人が非日本語学習者などより1割高い。この意味で、日本語の学習が人々の対日イメージ?好感度の改善に貢献しているといえるだろう。

図1 日本語学習の有無と対日好感度

              

4.言語観の国際比較研究

  今後、日本人の国民性研究で開発した連鎖的比較調査分析法を援用して、国際比較を行いたい。まず、東アジアの国として、日本と密接な関係がある中国、韓国、モンゴルの3カ国の比較をはじめようと考えている。中国と韓国の間に中国の朝鮮族、中国とモンゴルの間に中国のモンゴル族をそれぞれ入れて、比較を行う。         

                               図2 連鎖的比較調査研究計画

 

 


                                                英語

                                  シンガポール

                            

               朝鮮語       中国               中国   モンゴル語

                韓国       朝鮮族     中国  モンゴル族  モンゴル国

 

               日本語               中国語

                                   中国台湾    日本語

 

                                    

 

表2 サンプルの構成

 

中国

中国朝鮮族

韓国

中国モンゴル族

モンゴル

性別           

   女         

1473    0.5  

1444   49.5

106     44.7%

131     55.3%     

502     50.2%

498     49.8%

130     54.2%

110     45.8%

498     9.7

504    50.3

年齢

     1519           

     2029                  

     3039                

     4049              

     5059                

     6069                

 

357    12.2

777    26.6

748    25.6

564    19.3

296    10.1

175     6.0

 

35   14.8%            60     25.3%      29     12.2%     70     29.5%          33     13.9%       10       4.2%    

 

123     12.3%

227     22.7%

268     26.8%

160     16.0%

114     11.4%

 49      4.9%

 

 60    25.0

 77    32.1

 40    16.7

 30    12.5

 23     9.6

 10     4.2

 

156    15.6

330    33.0

235    23.5

141    14.1

 93     9.3

 47     4.7

学歴

    小学校以下

    中学校    

    高校       

    大学以上

 

331    11.4

616    21.1

1404   48.1

 566   19.4

 

18      7.6%            75     31.6%           90     38.0%                                          54      22.8%

 

182     18.2%

110     11.0%

442     44.2%

266     26.6%

 

 40     16.6%

 76     31.7%

 77     32.1%

 47     19.6%

 

32      3.2               

170    17.0

534    53.3                

266    26.5               

 

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