中国調査の実施概略
出所: 世研调查网 作者:何 梓華 更新時間: 2008-4-30 0:00:00
中国人民大学 何梓華
1.中国調査の構成
中国調査は全国調査と事例調査の二つの部分からなる。全国調査は、今年1月~2月に無作為に抽出された都市住民3000人を対象に実施された。これに先立って、1995年1月~3月に調査内容と調査方法の確定と調査員の訓練を目的とした調査が、また1997年9月下旬~10月初旬にかけて、中国の10数都市で準備調査が行われている。
事例調査は、主に二つある。一つは、今年7月から8月にかけて、吉林省と内モンゴル自治区で朝鮮族?蒙古族住民700人を対象に行った調査。朝鮮族は約200万人、6割以上が吉林省に住んでいる。モンゴル族は480万人、主に内モンゴル自治区に住んでいる。 朝鮮族とモンゴル族の日本語学習比率が全国平均より高い。その基本状況、背景を明らかにし、その普及の将来性を予測することは調査の主な目的である。もう一つの目的は、モンゴル国?韓国の調査と比較研究を通じて、同じ民族は異なった国に分断されたことで、言語の使用状況、言語意識にどのような影響が現れたかを明らかにしようとする。
もう一つ事例調査は、今年9月に大連、青島市民800人を対象にする調査である。大連は日本と深いつながりがあり、進出している日本企業の数は全国のなかで最も多い。それと比べて、青島の場合、むしろ韓国企業の存在感が大きい。この二つの調査を通じて、日系企業の進出が日本語学習に与える影響を検証する。
2.調査の実施機関
「日本語観国際センサス」の中国調査は、中国人民大学新聞学院?輿論研究所と日本国立国語研究所の研究者によって構成される共同調査推進班を中心に、各地の調査機関、マスメディア、大学の研究者の協力を得て実施された。
中国の調査環境は数年前と比べるとずいぶん改善されてはいるが、まだまだ多くの難問を抱えている。とくに、外国から委託された世論調査に対しては数多くの制限がある。本研究もいろいろと難しいに遭遇するであろうという予測のもとに出発したが、結果としては中日双方にとって非常に満足のいくものとなった。このプロジェクトが成功した理由は、時勢や中日双方での状況の変化、また調査事項の受け入れやすさなど、いろいろ考えられる。そのなかでも、両国のメンバーが数年にわたり議論を続け、その結果として相互理解と協力態勢が次第に強化されていったことが、本調査研究の成功の最大の要因だったと確信している。国立国語研究所の江川清部長、米田正人部長を中心とする日本側の研究者が準備調査、調査票の翻訳、標本抽出、調査員の訓練および実査の各段階に参加した。
全国調査は100地域で行われた。そのうち、中国人民大学輿論研究所がほぼ3分の2地域を担当した。残る地域の調査を、新聞学院?輿論研究所と協力関係がある新聞社、大学および調査機関に依頼した。調査が終わった後、調査票の15%を抽出して、再確認作業を行った。
3.当面の作業と今後の課題
この調査は中国で行われたはじめての全国規模の言語意識調査である。中国が改革?開放政策を実施してから20年の間に、言語環境が大きく変わった。従って、その調査結果は日本語教育研究だけではなく、中国における言語研究にとって非常に貴重なものである。
調査が終わってから、中日両国の調査関係者、言語学者10数人で、共同研究会を作り、データ分析作業を行っている。調査結果が中国のテレビ、新聞で広く紹介されたため、広い関心を集めている。近いうちに、調査報告書が完成するが、その成果の公式出版も考えている。
今回の調査は都市部だけを対象に行った。しかし、中国で農村住民が全人口の6割を超えている。農村部と都市部の間で大きな格差があり、言語環境、言語意識もそれぞれ大きく異なっている。今後、農村地域を調査する必要性が出てくると思われる。
また、日本語を習う学生、日系企業従業員などを対象にする調査を通じて、中国における日本語学習者の学習意識を解明することが重要な課題になる。